マイホームの新築にあたって親から資金援助があった場合、贈与申告・納税が必要ですが、非課税の特例を適用すれば限度額までは非課税にすることができます。
国税庁のHPにある「住宅取得等資金の非課税」のチェックシートで、適用の条件を見ると・・・
令和4年3月15日までに住宅用の家屋の新築の工事が完了(新築の工事の完了に準ずる状態を含みます。)又は住宅用の家屋の取得をしていますか。
引用元:令和3年分「住宅取得等資金の非課税」のチェックシート Ⓐ-1
という内容があります。
ここでいう「新築の工事の完了に準ずる状態」とは、どういう状態か解説します。
「新築の工事が完了に準ずる状態」とは?
新築工事の進捗として、上棟(じょうとう)以降の状態になっている必要があります。
棟上げ(むねあげ)とも言ったりします。
チェックシートにもあるように、上棟とは屋根+骨組みを有し建造物として認められる状態を指します。
「新築の工事の完了に準ずる状態」とは、屋根(その骨組みを含みます。)を有し、土地に定着した建造物として認められる時以後の状態をいいます。
↓こんな状態です(実際に上棟した我が家)。
ブルーシートがあって分かりづらいですが、屋根と骨組みがあります。
要は、屋根を有すところまで工事が進捗しており、このまま新築の家が完成するだろうと客観的に評価できる状態である、ということです。
手続きでは何に気をつければ良い?
住宅取得等資金の贈与があった翌年の3月15日時点で新築工事が完了しない場合、何に気をつければよいのでしょうか。
上棟日を確認しよう
贈与の翌年3月15日時点で新築工事が完了しない場合、ハウスメーカーや工務店の人に上棟日を確認しておくと良いでしょう。
仮に2022年に贈与を受けたとして、翌年2023年3月15日までに上棟していなければ、非課税の特例を受けることができません。
私の場合、上棟予定日が3月15日間際で、期日に間に合わない可能性があったため、工務店にできるだけ余裕を持った対応をお願い・相談して、なんとか予定日に上棟していただきました。
新築工事が完了していない場合の提出書類がある
贈与の翌年3月15日時点で新築工事が完了しない場合、最低でも次の3書類の提出が必要になります。
①新築に係る工事の請負契約書の写しなどその家屋が住宅用の家屋に該当すること及び床面積を明らかにする書類
②新築に係る工事を請け負った建設業者などの住宅用の家屋が工事の完了に準ずる状態にあることを証する書類(工事の完了予定年月の記載があるものに限ります。)
③新築をした住宅用の家屋を居住の用に供したときは遅滞なく「住宅用の家屋に関する登記事項証明書」を所轄税務署長に提出することを約する書類
引用元:令和3年分「住宅取得等資金の非課税」のチェックシート Ⓐ-1
分かりやすくすると・・・
- 住宅用の家屋に該当すること・床面積が分かる書類
(新築に係る工事の請負契約書の写しなど) - 上棟以降の状態であることを証明する書類
(工事の完了予定年月の記載あり) - 新築に生活開始後、必要書類を所轄税務署長に即提出を約束する書類
といった具合です。
1つ目の書類は、新築をする契約をしていれば情報は揃っていると思います。
2つ目の書類は、ハイスメーカー・工務店の人に作成してもらいましょう。
3つ目の書類は、自らが作成する必要があります。
住み始める日を確認しよう
非課税の特例を受けるためには、贈与の翌年3月15日までに上棟以降の状態というのは説明した通りですが、翌年12月31日までに居住する必要があります。
あなたは、既に新築又は取得をした住宅用の家屋に居住していますか(居住していない場合には、令和4年12月31日までに遅滞なくその家屋に居住する見込みですか。)。
引用元:令和3年分「住宅取得等資金の非課税」のチェックシート Ⓐ-1
給湯器をはじめとした設備や部材の調達ができず、工事の遅れてしまい、住むことができなくなるといった想定外の自体が起きた時にありえることだと思います。
工期に関してハウスメーカーや工務店に調整しつつも、実際にそうなる可能性がある場合、所轄税務署へ期限延長について相談してみると良いでしょう。
災害その他やむを得ない理由があり、期限に間に合わない場合「期限の個別延長の手続」というものがあります。
まとめ:期日に間に合うか確認して準備しておこう
「新築の工事の完了に準ずる状態」の解説から、手続きで気をつける内容を紹介しました。
- 「新築の工事の完了に準ずる状態」とは上棟以降の状態のこと
- 気をつけること
- 上棟日を確認
- 新築工事が完了していない場合の提出書類がある
- 住み始める日を確認しよう
マイホームを建てる経験は、人生でそう何回もあることではないし、贈与の確定申告をする機会もあまりありません。
そういう不安がある方の手助けになれば嬉しいです。
余談:「建築物」
建築基準法を見ると「建築物」の定義が載っていました。
チェックシートにある「屋根を有し、土地に定着した建造物」という表現は、この定義をもとにしているのではないでしょうか。
建築物(けんちくぶつ)と建造物(けんぞうぶつ)と表現が異なるのは少し気になりますけどね。
建築物 土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの(これに類する構造のものを含む。)、これに附属する門若しくは塀、観覧のための工作物又は地下若しくは高架の工作物内に設ける事務所、店舗、興行場、倉庫その他これらに類する施設(鉄道及び軌道の線路敷地内の運転保安に関する施設並びに跨こ線橋、プラットホームの上家、貯蔵槽その他これらに類する施設を除く。)をいい、建築設備を含むものとする。
引用元:建築基準法 第一章 第二条(用語の定義) 建築物
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